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認知症の患者のケア
No140r (2017/03/24)
 超高齢化社会で認知症の患者が増加し、認知症患者のケアの問題が重要になり、特に終末期のケアは大変重要になった。認知症はそれ自体が致死的疾患であるが(脳血管性認知症は別)、認知症の患者がその経過中に致死的疾患(治癒不能ながんなど)を合併することもしばしば観られる。
 認知症の診断が確定したら、役所から書類を取り寄せ、主治医に診断の部分を記載してもらい、介護保険の申請をする。これからどのように経過するかについて主治医から話を聴き、親族が集まり、患者のケアに関しての話合いを行う。ケアマネジャーが決まったら、家庭でのケアや社会支援やグループホームなどの施設への入所予約などについて相談する必要がある。
 家族などケアする人は、認知症は病気であることを受け入れて、何度も同じことを質問されても、何度でも答えることをおっくうがらずにすることが大切である。認知症の患者は記憶力より感情が比較的障害が遅いために、忘れやすいと責められると、自尊心が傷つく場合が多いことに留意する必要がある。
 ケアが行き届いて、患者が快適な環境にいられれば、不潔行為や暴言・暴力や介護への抵抗などの迷惑行為が比較的少ないといわれている。薬剤の服用は早期でなければ本人任せにせず、管理する人を決め、薬の嚥下もいちいち服用後に開口させて確認する方が良い。自動車の運転はやめるように説得する。説得できない時もできれば自動車の鍵を他の人が管理するようにする。徘徊は人的・時間的に可能であれば、だれかが付いて散歩を共にする。深夜の徘徊に対しては、鍵を二重・三重にした戸締りをして予防する。衣類に名前と連絡先の電話番号を記載した名札を縫い付けておく。近所の交番や隣近所の人々などには患者についての基本的情報を知らせておくと良い。
 認知症の治療やケアなどに関する意思決定では認知症が軽度の段階と進んだ段階とで分けて考える必要がある。認知症が軽度の場合は、患者本人の意思の確認が可能であれば、理解度を充分に確認しながら、それを尊重して治療やケアを行っていく。認知症が進んだ段階では、代理人ないしそれに代わる保護者に意思決定を委ね、治療やケアを行っていく。患者本人の意思が予め決められ、遺されている場合(生前遺書)はそれに従う。ケアチームの統一意思がそれらと大きく異なる場合には、時間をかけて本人や代理人やそれに代わる人と話し合っていく。最終的に意思が一致しなければ、本人や代理人の意思にそって治療やケアを行う。
 認知症だけの患者の終末期では、認知度が進行して重度に達しているので、看取りの際に別れの挨拶や感謝の言葉などを話すことは意味が少ない。したがって認知症の患者の終末期は年余にわたっていると考え、言葉が理解できる時期に別れの挨拶や、感謝の言葉などを交わしておく必要がある。
SS

     認知症ケア終末期 | 致死的疾患 | 意思決定
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