HOME 健康相談Q&A QA004甲状腺関連検査項目

第9回健康相談セミナー 質疑応答より

(平成25年11月2日)
question2. バセドウ病の血液検査の中に甲状腺関連検査という項目があり、次の4項目が記載されています。それぞれどのような意味があるのでしょうか。
@FT4 AFT3 BTSH CTRAb
(40歳 女性 主婦)

                               
amswer2. 甲状腺の機能が正常か、あるいは亢進、低下しているかを知る検査である。
甲状腺機能亢進症は過剰の甲状腺ホルモンが全身の臓器に作用して、甲状腺中毒症を起こす病態で、もっともよくみられるのはバセドウ病である。
甲状腺機能低下症は甲状腺ホルモンの欠乏であり、血中の甲状腺ホルモンは低値である。甲状腺機能低下症の原因にはいろいろあるが、頻度として多いのは慢性甲状腺炎である。慢性甲状腺炎には甲状腺腫のある橋本病と、甲状腺を触れない萎縮性甲状腺炎がある。
こうした病気で甲状腺の機能を調べることは重要である。
FT4 Free Thyroxine ; 遊離サイロキシン
甲状腺ホルモンである。甲状腺で合成され血中に放出される。血中ではサイロキシンは大部分が蛋白(アルブミン)と結合しており、遊離サイロキシン(FT4)は総サイロキシン(T4)の約0.02%に過ぎない。しかし総T4が結合蛋白の増減により影響されるのに対して、FT4は影響を受けないので、甲状腺機能の指標として優れている。通常、総T4の検査は行わない。
基準値::1.0〜1.7 ng/dl

FT3 Free Triiodethyronin 遊離トリヨードサイロニン
トリヨードサイロニンも甲状腺ホルモンであるが、大部分は脱ヨード酵素によって、末梢組織でT4から転換されて作られる。T3はT4よりも活性の高い甲状腺ホルモンである。T3もT4同様、血中では大部分が蛋白と結合し、FT3は総T3の約0.3%に過ぎない。しかしFT3の方が優れた甲状腺機能の指標となる。
基準値: 2.1〜4.1 pg/ml

通常、FT4, FT3は一緒に変動するので、一方のみを測定すれば十分である。しかし両者が一致しない病態があるので、その場合は両者とも測定する必要がある。例えば;
@FT4が正常なのに、FT3が低い場合をlow T3症候群という。この場合は両方測
 定する。
A抗甲状腺剤治療中にFT4は正常になっても、FT3が高いことがある。この場合、
 TSHは低く、甲状腺機能は亢進状態にある。
B橋本病で甲状腺機能低下が軽度のとき、FT4だけが低値で、FT3は正常値のこ
 とがある。

TSH Thyroid Stimulating Hormone  甲状腺刺激ホルモン TSHは下垂体前葉のTSH産生細胞から分泌されるホルモンで、甲状腺機能を活性化する。
TSHによって甲状腺ホルモン(T4,T3)が分泌されると、TSHは抑制される。
これをネガティブ・フィードバックと言い、このメカニズムによってT4, T3のレベルは一定に保たれている。従って血中のT4,T3レベルを最も鋭敏に反映するのはTSH値である。
基準値: 0.3〜5.0 μIU/ml

TRAb TSH receptor antibody  TSH受容体抗体
TRAbとはTSH受容体に対する自己抗体である。バセドウ病はTSH受容体を抗原とする抗体(TRAb)の甲状腺刺激作用によって起こると考えられている。
橋本病の一部でもTRAbは血中に検出されることがあり、この場合のTRAbは逆に甲状腺機能を抑制する。
TRAbの測定法には次の3種類があり、いずれもTRAbの活性をみる。
@ TBII:TSH binding inhibitory immunoglobulin
A TSAb:Thyroid stimulating antibody
B TSBAb:Thyroid stimulating blocking antibody
このうちTBIIの測定はキット化され、保険も適用になっているので、現在、TRAbというとTBIIを指すことが多い。

TBIIはバセドウ病患者の疾患活動性の指標になる。
@抗甲状腺剤治療中に下降してきたら、寛解に向かっている証拠である。
 陰性になったら、治療を中止してよい。
 逆に陽性のまま抗甲状腺剤を止めると、早晩、再発する。
A抗甲状腺剤の治療で、寛解し易いか否かが分る。
 TBIIが容易に下降する患者は、比較的早く軽快する。
 治療によってFT3,FT4が正常になっても、TBIIが高値を続ける場合は、容易に軽
 快しない。
(NH)
No004q 2013/11/08