HOME 健康相談Q&A QA008血圧の正常値の変更について

第11回健康相談セミナー 質疑応答より

(平成26年06月7日)
question 先日の新聞報道によりますと、血圧の正常値がこれまでの値より緩和されて、上の血圧は147、下の血圧は94以上を高血圧とするそうですが、本当ですか?
(63歳 女性)

amswer  本年4月、日本人間ドック学会および健康保険組合連合会(健保連)は、健康診断検査の27項目について新しい基準範囲を発表した。それによると、人間ドック受診者約150万人のデータの中から約34万人の「健康人」を抽出し、そのうちの7分の1をアトランダムに選んで、更に異常値除外を行った約1万〜1万5千人の血圧、BMI, 血糖、コレステロールなど27項目の新しい基準範囲を設定したとしている。この報告によると、血圧の基準範囲は収縮期血圧(最大血圧) 88〜147、拡張期血圧(最少血圧)51〜94とした。
 今回の発表によって新聞、テレビなどマスメデイアは、「血圧147/94は健康」などと報じ、医療現場は大きな混乱をきたした。
 従来より日本高血圧学会は高血圧を140/90以上としている。従って今回の新たな報告により、医師の治療方針や処方箋の内容に疑問や異議を唱えたり、治療を止める患者も出ているという。 日本医師会、日本医学会はこれに対する見解を発表した(5月21日)。すなわち、検査の基準値は各専門学会が長年の研究成果を基にして提示しており、それぞれ当該疾患の発病リスクや治療成績を視野に入れて設定している。今回の人間ドック学会が、関係学会と事前の十分な検討も行わずに新しい基準値を唐突に発表したことは国民に誤解を与え、医療現場の混乱を招いたことは「拙速」と言わざるを得ない、と強く自省を求めた。そして各メデイアに対して、このことを理解したうえで適切な報道を行い、かつ人間ドック学会は早急に関連学会との十分かつ慎重な検討を行うことを求めた。
 また日本高血圧学会も声明を出し、今回の人間ドック学会の報告に対して学術的に反論し、血圧147以下/94以下は血圧分類ではT度の高血圧であると断じた。因みに他の検査の基準値についても反論が噴出し、例えばコレステロール値については、日本動脈硬化学会が4月23日、臨床研究適性評価教育機構が5月14日にそれぞれ批判声明を発表している。
 以上、今回の人間ドック学会と健保連が新しい血圧などの基準値を発表したが、これに迷わされることはない。                             
(NH)
No008q 2014/08/10