HOME 健康相談Q&A QA009高齢者の熱中症について

第11回健康相談セミナー 質疑応答より

(平成26年06月7日)
question 今年も厳しい暑さが早くも始まり、多くの熱中症患者が発生しているようです。これから夏に向けて熱中症予防対策、とくに高齢者に対する注意を教えて下さい。
(64歳 男性)

amswer  熱中症とは、高温・高湿の環境に長時間いたため、体内の水分や塩分のバランスが崩れ、体温調節がうまく働かなくなることにより、体内に熱がこもった状態をいう。屋外だけでなく、室内で何もしていなくても起こることが ある。熱中症の症状としては、めまい、立ちくらみ、手足のしびれ、気分が悪い、頭痛、吐き気、嘔吐などがみられ、重症になると、意識消失、痙攣を起こす。
 高齢者の熱中症には十分な注意が必要である。高齢者になる程、重症の割合は高くなり、熱中症で死亡する割合は、65歳以上が79.3%を占める(平成22年度)。従って65歳以上では80%が入院し、65歳以下では14%と高齢者ほど入院が必要となる。熱中症の発生場所も高齢者では特有で、男女とも住居内が多い。これに対して若年者では屋外、運動中が多い。自宅で起こす熱中症高齢者は、独居または老老介護の二人暮らし、エアコンがない、つけない、などのケースが多い。
 高齢者の熱中症の生理学的特徴として次のことが挙げられる。
(1)高齢者では皮膚の温度感受性が低下しているので、暑さに対する体温調節機
  能が低下している。
(2)高齢者では発汗量が減少し、皮膚からの熱の放散も低下するので、深部体温
  が上昇して体内に熱が蓄積しやすい。
(3)軽い熱中症状態でも、高齢者は発汗により水分、ナトリウムが喪失して、水・電
  解質異常が起こり易く病状を悪化させる。
(4)高齢者では口渇中枢の感受性が低下するため、「のどの渇き」を感じ難い。
(5)以上の原因が重なって、高齢者では脱水、電解質異常を来し易く、熱中症を起
  こし易い。

 さらに高齢者は多くの病気を抱えており、多くの薬剤を服用している。こうした薬剤の中で体温調節に影響を及ぼすものがあるから注意が必要である
(例:抗不整脈薬、降圧薬、狭心症治療薬、利尿薬、抗うつ薬など)。
 高齢者の熱中症予防として次の点に注意する。
(1)高齢者では「温度」に対する感受性が悪く、高温・高湿の環境を不快と感じない
  場合が多い。
(2)高齢者では発汗機能、体温調節機能が低下し、口渇も感じないので水を飲ま
  ないから、脱水状態になり易い。
(3)したがって高齢者では、特に「水の補給」に気を遣うことが大切である。
  1日の水分摂取量を決めておき、定期的に水分補給をするが、独居老人の場
  合は難しい。
(4)エアコン、扇風機を使用して「涼しい環境」に居るよう勧める。高齢者は冷房器
  具の使用を嫌がるが、よく説得する。室温28℃、湿度60%如何になるよう、周囲
  の人が環境管理に手助けする。
                            
(NH)
No009q 2014/08/10