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未破裂脳動脈瘤
No007h (2019/02/15)
 1985年まで日本人の死因の第一位をしめていた脳血管疾患の主な原因は脳出血、脳梗塞、クモ膜下出血で、それぞれの原因となる高血圧や動脈硬化の治療が行われ、クモ膜下出血の原因となる脳動脈瘤は破裂するまで症状を呈することはほとんどないために、脳ドックによる未破裂脳動脈瘤の検索がおこなわれ、2019年には悪性新生物、心疾患に次いで死因の3位となっている。
 未破裂脳動脈瘤は破裂してくも膜下出血を発症すれば3分の一の人は病院で治療を受けても死亡し、3分の一は治療を受ければ全く障害なく社会復帰できるが、3分の一は治療を受けても種々の程度の障害を残す。さらにクモ膜下出血の頻度は、日本とフインランドで突出して高いがその原因は解明されていない。しかし日本のクモ膜下出血による死亡率は他の地域に比べて低かったという報告もあり、その要因の一つに日本で開発されて脳ドックによる未破裂脳動脈瘤の発見があると考えられる。これは全く自覚症状のない人に検査をして破裂すれば致死的になるくも膜下出血となる可能性があるということで、予防的治療が検討される。治療法は開頭術による動脈瘤を閉じるクリッピングと血管内カテーテルにより動脈瘤内を埋めるコイリングがあり、それぞれにメリットとデメリットがあり、合併症の可能性もゼロではない。また、未破裂脳動脈瘤の破裂する確率は10mm以下の場合、場所、大きさによっても異なるが、年間0.14~3.19%とされている。「脳卒中ガイドライン2015」によると「未破裂脳動脈瘤が発見された場合、年齢、健康状態、患者の背景因子、サイズや部位、形状など病変の特徴、未破裂脳動脈瘤の自然史および施設や術者の治療成績を勘案して、治療の適応を検討することが推奨される」とある。2015年には「未破裂脳動脈瘤Japan standard」が公表されている。
 超高齢社会となった日本では高齢者の脳ドックをどの年齢までするのか、あるいは慢性疾患を抱えた高齢者に見つかった未破裂脳動脈瘤の治療をどうすべきか問題となる。無症状の未破裂脳動脈瘤は破裂さえしなければ患者には問題がないので、本人の人生観の問題となるのかもしれない。
SF
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