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ACPを取り入れた「終末期医療の指針」
No286n (2018/04/15)
 脚本家の橋田寿賀子さん(92歳)は、昨年8月、「安楽死で死なせてください」という本を出版し話題になった。夫を亡くし、子供もいない橋田さんは、延命治療をやめる尊厳死について安楽死の法制化を求めている。
 日本では、尊厳死の法制化が国会で議論されたことはないが、超党派でつくる「終末期における本人意思の尊重を考える議員連盟」が2012年にいわゆる尊厳死法案をまとめている。これによると本人の意思で延命治療の中止ができる。
 法制化とは別に、受けたい医療について患者との対話をより充実させて記録に残すACP(アドバンス・ケア・プランニング)という手法が注目されている。
 これまで、自分で意思を決定・表明できない状態になったときに自分に対して行われる延命治療についての希望を書面であらかじめ要望を明記しておくものとして、「事前指示書」やリビングウイル文書があった。これらは書面そのものが尊重されるのに対し、ACPは家族らを交えた話し合いの過程に重きを置く。事前指示書などが発展した形といえる。
 厚生労働省も尊厳死の法制化を進めるのではなく、ACPの普及を中心に取り組んでいる。2007年、ACPを取り入れた終末期の治療方針の決定手順などをまとめたガイドラインである「終末期医療の指針」を策定しているが、10年後の本年3月大幅に改訂した。
 自宅などで看取りを望む人が増加していることを踏まえ、医療機関だけでなく在宅や介護施設での看取りにも対応できる内容になっているのが改訂のポイントである。

<終末期医療の指針改定案の骨子>
@患者の意思決定支援は、患者や家族を支える多職種のチームに、医師や看護師ら医療者だけでなく介護に関わるスタッフも加わることを明記した。
A患者の意思は時間の経過や病状の変化に伴って意思は変わることが多い。
話し合いは繰り返し行われることが重要。
B患者が意思表明できない場合に備え、自らの意思を推定する者を前もって定めることが望ましい。
C話し合った内容は、その都度、文書にまとめておく。

 改定にあたって、厚生労働省は「人生の最終段階における医療に関する意識調査」を実施しているが、終末期患者へのACPを医師の7割が実施せず、その7割が今後も実施を検討しないと回答していることが明らかになった。
 我が国は年間130万人が亡くなる多死社会を迎え、在宅での看取りを望む人が増えている。医療と介護の連携は必要不可欠である現在、医師の意識改革が求められている。
TI