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VSED(飲食拒否)
No287n (2018/07/15)
 日本の終末期の緩和医療に携わる医師の約3割が自分の意思から飲食をせずに死期を早めた患者を診たことがあるとの報告がある。緩和医療を専門とする学会が専門医914人を対象にアンケート調査をして571人から回答を得て185人(32%)がVSED(voluntary stopping eating and drinking)を経験している。VSEDは患者自らの意思で飲食をせずに死をむかえるので安楽死と同じと考えられ倫理的にも議論されてきた。特に痛みの強い患者でコントロールが困難である場合に鎮痛剤と同時に鎮静剤を使用して眠らせる時に栄養補給をしなければ衰弱が進行し、本人が経管栄養などを希望していなければ眠っている間に死を迎えることになる。
 癌末期患者の緩和医療では痛みのケアは身体的、精神的、社会的さらにはスピリチュアルケアまで含めすすめられているが、それでも生きることを望まなくなった患者は自分の意思により絶飲食を望むことがある。安楽死の範疇にはいり、担当している医師は自殺を認めることなるが、患者が末期状態であれば容認せざるを得ない。
 2015年オランダの医師を対象にしたアケート調査によると978人中708人(72.4%。)の回答のうち46%がVSEDによる死期の短縮の経験があり、患者の70%以上は80歳以上で、76%は重篤な疾患を持ち、27%はがんであり、77%は日常生活に介護が必要であった。死亡までの中間値は7日であり、死亡までの主な症状は痛み、倦怠感、意識障害、口渇であった。統計によると2014年に届け出された医師による安楽死は5306人で、その内242例は医師介助自殺、31例は両方であった。オランダは安楽死が法的に認められている国であるが、そのための要件が厳しく、医師による安楽死でなく、医師への負担も軽減すると思われるVSEDを選んでいる患者がかなりある。VSEDは非侵襲的で、初期の段階では回復可能性があり、自然死の過程をとることから、本人の受け入れやすい選択なのかもしれない。
 認知症末期になって経口摂取が困難になったときに経管栄養は行なわなくて、介助により本人にとって楽しみとなるだけのcomfort-feeding only(CFO)(No139r)にするのは、意思表示のできなくなった認知症末期の高齢者に対して、家族との合意の下に介助により本人に負担とならないだけの経口摂取を援助するもので、経過は個人差があり、1年以上も維持する人もある。
SF
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