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パルスオキシメーターとSpO2
No279n (2017/04/21)
 昔は診療所や病院へ行くと、先ず看護婦が体温計を差し出して体温を測定したものだった。今では体温の他に中高年者には血圧も測定する。最近では指先を検知器(プローブ)で挟んで、その人の体内の酸素状態を測ることが多くなった。この小さな器械をパルスオキシメーター(Pulse Oximeter)といい、正確には動脈血の酸素飽和度を測定して患者の呼吸状態をモニターするのである。長期喫煙者の行く先がCOPD(慢性閉塞性肺疾患)であるということが問題になってから、このパルスオキシメーターは急速に普及した。さらに最近では在宅酸素療法患者の呼吸管理、睡眠時無呼吸症候群や嚥下障害のスクリーニング、高山病の予防などにも応用されている。
 パルスオキシメーターの原理は日本で発見された。1974年に日本ME学会で青柳卓雄氏によって発表され、1977年に山西昭夫氏によって世界初の指先測定型の製品がミノルタカメラ(当時)から商品化された。
 肺から取り込まれた酸素は、赤血球に含まれるヘモグロビンと結合して全身に運ばれる。酸素飽和度とは、心臓から全身に運ばれる血液(動脈血)の中の赤血球中ヘモグロビンの何%に酸素が結合しているかを表す数字でSpO2と呼んでいる。これを指先の皮膚を通して調べるのがパルスオキシメーターである。つまり赤血球中のヘモグロビンは酸素との結合の有無により、赤色光と赤外光の吸光度が異なるのでセンサー(受光部)で透過光や反射光を測定する。このとき透過光や反射光のうち、動脈血を透過したものと静脈血や他の組織を透過したものとの区別は、拍動する成分が動脈血であることを検知するよう作成されている。従って動脈の拍動が検知できない状態ではSpO2は測定できない。
 SpO2は96〜99%が標準値である。90%以下の場合は酸素が全身臓器に十分送れない状態(呼吸不全)の可能性が考えられ、緊急の対応が必要である。慢性的に肺や心臓に疾病がある患者では、普段からパルスオキシメーターを携帯し、息苦しさや喘鳴などの自覚症状の他、SpO2が普段の数値から3〜4%低下したら、かかりつけ医に連絡すべきである。
 測定値に誤差を生じる要因として、真冬の指先が冷たいとき、レイノー現象があるとき、マニキュアなど光の透過を邪魔するものを塗っているときなどが挙げられる。SpO2はある時間内の一定の脈拍ごとの平均値を表しているので、パルスオキシメーター装着後20〜30秒経って脈拍が安定してからの数値を読み取るようにする。
NH
   パルスオキシメーター | 酸素飽和度 | SpO2 | ヘモグロビン | 呼吸不全