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新しい診療理念

日米 がん格差+医療の質とコストの経済学
No146r (2018/01/15)
 アキよしかわという、わが国でも有名な国際医療経済学者が、自らのがんを経験して、「日米がん格差」とい書籍を2017年6月に上梓した。
 質の高い医療が受けられる病院と、そうでない病院との格差が激しい日本に対して、費用面では大きな格差があるけれども、質という面ではガイドラインに基づいて均一さが担保されているアメリカとまとめられている。
 それと国民の「がん」という病に対する考え方に大きな違いが一般に見られる。日本人は、「がん」になったというと、それだけで絶望の淵に沈んだような暗いイメージがつきまとい、患者やその家族に苦しい闘いを強いる「不幸」「災い」のようなものと捉えられがちである。なぜ自分や愛する家族にふりかかってきたのかと、病の理不尽さを呪い、運の悪さを嘆く。
 しかし、アメリカ人は、これは乗り越えるべき「チャレンジ」だと受け取り、自分の力でどうにもならない「不幸」「災い」ではなく、自分自身の努力によって克服できるものという捉え方をすることが一般的である。「勝てないチャレンジ」もあるかもしれないが、その場合も自分の運命を呪い、不幸な運命を嘆きながら旅立つわけではない。「勝てないチャレンジ」に対しても、自分自身の持てる力を出し切って最期を迎える。アメリカ人にとって、「がん=チャレンジ」であり、がんとの「闘い」の武器は「病と向き合う強い心」と「正しい情報」と書いている。この後者の必要な情報(専門知識)を有した伴走者に日本で簡単に一般の患者がアプローチできるようにすることが大切だと書いている。アメリカではキャンサー・ナビゲーターを養成するプログラムがあり、著者は日本でがん手術後、ハワイで化学療法を受けながら、化学療法の副作用と闘いながらこの養成プログラムを受けてナビゲーターになっている。
 ナビゲーターがいない状態で、ネットで正しい情報を得るポイントを著者は3つ挙げている。1)誰が主張しているか、2)いつ発言(掲載)されたものなのか、3)根拠はなにか、である。
 日本の医療で良い点は、医師や看護師の患者に対する暖かさは、アメリカとは比較できないとこの著者は書いている。
 がんサバイバーの手記を読んでいつも感じることは、自分の人生を主体的に生き、みずから選択し、人生の主役は最期まで自分自身であり続け、病にその座を取って代わられることがないということである。
SS
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