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知っておきたい新着情報

未婚女性の卵子凍結保存を容認
日本生殖医学会 2013年8月23日発表

 日本生殖医学会は、健康な未婚女性が将来の出産に備えて卵子を凍結保存することを容認する指針について発表した。女性の晩婚化により出産年齢が高齢化する現状から、未婚時代に自分の健康な卵子を保存して将来に備えるという人が増えることを予想して、一定の歯止めとなる指針を作成したと説明している。
 これまで卵子の凍結保存については日本産婦人科学会が、不妊治療を目的とした夫婦と卵巣機能が失われる恐れのある癌患者にのみ認めていたが、未婚の健康女性に対して容認するのは初めてである。今回の指針では採卵時に40歳以上の女性は推奨できないとしている。また子宮に戻す年齢は45歳以上は勧めない。本人が死亡した時は保存卵子は廃棄するとしている。
 「子どもは将来欲しいけれど、今ではない」という女性のために、卵子凍結保存を請け負う営利企業も最近では市中に設立されている。費用もいろいろのようだが、例えば卵子採取と1年間の卵子保存管理で約100万円、2年目以降は卵子1個当たり平均約1万円という(読売新聞朝刊 8月27日)。同学会ではこうした企業の過度の商業化と利用する女性の乱用に歯止めをかけるための指針であることを強調している。
 しかし問題は多い。高齢出産を助長しかねない、採卵時に大量出血などのリスクを伴うことがある、必ずしも出産できるとは限らない(出産率約10%)、卵子を預けた会社(病院)が倒産(廃業)したときの法的保護はない、など課題は山積している。最大の問題点は、生まれてくる子どもに関する長期的安全に関するデータがないことである。欧米では癌などの治療で、将来子どもを持てなくなる可能性のある女性患者に限って卵子保存を対象としているが、最近、欧州生殖医学会では出産率が高くないことやリスクのあることを説明した上で卵子凍結保存を行っている。米国生殖医学会では一般女性には勧められないとしている。
 とかく生殖医療では親の自己中心的傾向が強く反映されることが多い。生まれてくる子どもの人間としての尊厳は考えられていない。親の都合の良いときに子どもを産むのでなく、子どもを産んでも働きながら子育て出来る社会を作ることが重要なのではないだろうか。
(NH)
(2013年8月30日 No0003j)